藤田嗣治展 山王美術館

2023.4.30 日曜日

 大阪市中央区の山王美術館で「藤田嗣治展」を観てきました。

 山王美術館は、ホテルモントレグループが収集した600点に及ぶコレクションを公開するために開館された美術館で、以前は難波のモントレ22階にありましたが、昨年OBPに移転されました。

 JR京橋駅南口から徒歩数分で着きます。他、京阪電車、地下鉄、どの交通機関を利用してもとてもアクセスのよい立地です。

 難波のときは、ホテルの一角ということで現在よりはこじんまりしたスペースでしたが、ヨーロッパ調のエントランスがお洒落な大変雰囲気のいい美術館でした。「佐伯祐三 荻須高徳展」が特に印象に残っています。

 移転された新しい建物はとてもモダンな印象で、展示室の空間がとても広く感じました。

 

京橋駅南口すぐ

 

 

  今回は、山王美術館所蔵の藤田嗣治の作品全54点が公開されていて、大変みごたえがありました。

 特に印象的だったのが、パリ留学前の生活費を得るために自ら購入者に持ち込んだとされる「花」。‘’とても上手な一般的な油絵の静物画‘’という印象の作品で、‘’フジタと言えばこんな絵‘’というイメージからはかけ離れたものでした。こののち様々な試行と研究を重ねて、独自の画風を確立していかれたのだろうなあと感じました。

 また、フジタがよく描いた猫が左肩にまとわりついている、ちょび髭の自画像が観られたのも嬉しかったです。

 目の吊り上がった特徴的な顔の子どもを描いた作品も多数展示されていました。フジタ自身は数度結婚をしていますが子どもがいなかったそうで、「自分の描く子どもは皆創作で、私の画の子どもが一番愛したい子どもだ。」という言葉を残しています。

どの子どもの視線も意味ありげに何かを訴えているようにも見えて、(確かにこの子たち生きてるわ。)と感じました。

 

 数年前に上野の東京都立美術館で観た没後50年展は、フジタの人生の軌跡をたどることができる大迫力の展覧会でした。(このときは、同じ上野の上野の森美術館でやっていたフェルメール展とフジタ展がハシゴできてとてもお得な気分でした♡)

もちろんそれとはテーマや規模が異なりますが、今回はひとつの美術館がこんなにも多数のフジタの作品をコレクションされていることに感動しました。

 残念だったのは、本展覧会の図録が発刊されていなかったこと。毎度図録を作るものではないのかも知れませんね。山王美術館全コレクションの図録のなかにフジタの作品も9点が掲載されていましたし、素敵な表紙の図録だったので購入して帰りました。

山王美術館図録         以前東京の展覧会で買った一筆箋裏表紙



 

 日曜日のOBPはひっそりとして、空気が澄んでいました。大変いい時間を過ごせました。